いわし雲

作詞 大谷浩之
作曲 谷嶋早苗

いわし雲が流れて行くよ
 サナトリアムの屋根の上を
 ひしひしと身を寄せあってゆくよ

 去年おれはあの雲を見たよ
 死に近い母のかたわらで
 おれの家と隣の屋根の
 間の空に
 うっすらと流れて来たのを見たよ

 母は戦争の頃をうなされていたよ
 食べものと病気の永い息子のことを

 母は知らないんだよ
 戦争を起こした奴を

 おれは縁側に立って泣いたよ
 いわし雲が消えて行くまで

 いわし雲が流れて行くよ
 サナトリアムの赤い屋根の
 しずかな午後の光の中を

 いわし雲が流れて行くよ

2009島津混声合唱団 with もずコールOB有志